アイドルネッサンスは、ソニーミュージックアーティスツ(SMA)が、プロダクション設立40周年の節目に立ち上げた、レーベル史上初のアイドルプロジェクトの中から生まれたグループです。イメージカラーは白で清楚な雰囲気。通称は『アイルネ』。
彼女たちの特徴としては、自分たちのオリジナルの持ち曲はなく、基本的にカバー曲のみを歌うという部分です。「古今の楽曲を歌とダンスで表現する」をコンセプトに、SMAの歴代の名曲を中心とした、往年の名曲をカバーしながらの活動を展開しました。(活動の後期にプロデューサーの小出氏より、オリジナル楽曲の提供はありましたが、それでも全部で4作品のみです。)
そんな中、プロデューサーの小出祐介さん(Base Ball Bear)が、2017年に初めて提供したオリジナル楽曲の中の一作品が、今回紹介する「前髪」です。ファンの間でも、「カバー曲以外が聴いてみたい」という声が多くあったので、念願叶ったりという感じでしょうか。
この作品はただひたすら切ない、青春&ノスタルジー。具体的な表現を交えつつ、過ぎ去っていく青春と、変わっていく未来を、切々と歌い上げています。彼女たちの真っすぐな歌声に、心を打たれました。
決まらない前髪を また風が乱してゆく
いつまでも私たちきっと 決まることなんてないんだろう
失った魔法のこと 消えてしまった光のこと
愛おしく思っても 何もあきらめないで
それでいいよ それでいいの
ここで言う『風』というのは、自分の意思ではどうにもならない運命のことではないかなと思います。生きていると、得るものがあれば、失っていくものも同じくらい生まれてしまう。そんな時、「喪失感を無駄にしないで、過去を愛おしく想いながらも、その想いを抱えながら、前向きに生きていこうね」というメッセージ性を感じました。
『関ジャム 完全燃SHOW』の「音楽ソムリエ!その曲が好きな人はこの曲も好きなはず」の企画の中で、ヒャダインさんが「前髪」を推薦されたことで、今までアイドルネッサンスを知らない層にも浸透、世間的にも注目を集めたのですが、その時点では、既に解散が決まっていたという事実。そうです、彼女たちは2018年02月に解散しました。
初のオリジナル曲をリリースして、カバー曲との融合が生まれることで、今後はどんなステージになるのか、楽しみにしていた矢先の出来事でした。自分は何とかチケットを入手して、横浜で行われたラストライブを生で拝見することが出来たのですが、今でも彼女たちの最後の姿が目に焼き付いています。
解散後、石野理子は赤い公園のボーカリストとして、原田珠々華はシンガーソングライターとして、南端まいなはソロシンガー&女優として、百岡古宵はアイドルグループ開歌-かいか-のメンバーとして、野本ゆめかはBisの妹分アイドルグループCARRY LOOSE(2020年10月解散)のメンバーとして、それぞれの次のステージに旅立ちました。
もう少し長くアイドルネッサンスとしての活動も見たかったなという気持ちもありますが、いつまでも消えることがない名曲を残してくれたことに、感謝の気持ちで一杯です。
ボーカル | 16 |
メロディ | 19 |
歌詞 | 19 |
アレンジ | 18 |
個性 | 17 |
TOTAL | 89 |