音源を販売する場合やネットで音源を公開する時に、大切な要素の一つである著作権。勿論、その名の通り、自身の作品が無断で転用、商業利用されることを防ぐための決まり事です。本来、自分で得られるはずの利益が、外部に持って行かれるのを防ぐ為のルールではあるのですが、もし仮にこの考え方を撤廃したら、どのような結果になるでしょうか。その答えと可能性を示してくれた作品がここにあります。魔王魂さんの「シャイニングスター」です。
フリーゲームをプレイしたり、動画をよく視聴する方だったら、どこかで耳にしたことがあるであろう楽曲だと思うのですが、この「シャイニングスター」は、ボーカルを詩歩さん、作詞&作曲を森田交一さんが手掛けています。2004年から運営されている『魔王魂』という著作権フリーの音源サイトを運営する森田さん自身の作品で、この曲もアップロードされています。この作品は多くの動画やゲームで二次利用されている為、ネットカルチャーやネットコンテンツに触れる機会が多い人間ほど、耳にする可能性が高い楽曲です。自分はゲーム実況者のレトルトさんやキヨさんの動画などをよく拝見するのですが、その中のフリーゲームのBGMとして、何度か耳にしたことがありました。
作品に対しての感想なのですが、耳に残るポップな楽曲は、ものすごく素晴らしいと思います。二次利用されることを想定して、森田さんが楽曲制作をされているかどうかは、定かではありませんが、印象に残りやすい王道メロディとサウンドというのは、人を惹きつけるという観点からも、大切にすべき部分だと思います。
シャイニングスター綴れば 夢に眠る幻が掌に降り注ぐ 新たな世界へ I'll believe of my sensation 果てしない道の向こうで 瞼の裏に映る 一滴の光 トキメキを感じて
歌詞に関しては、アニメやゲームの主題歌のオマージュなのか、それっぽい単語が並んでいます。良い意味で中二病っぽさも感じる歌詞です。ただ動画やゲームで二次利用されることを前提とした場合、このコンセプトもありだと思います。わざと抽象的な表現を多用している感じがするのですが、逆にあまり具体的な歌詞にしてしまうと、二次創作の作品中で使いにくくなるという欠点が生まれてしまう為、汎用性の高い歌詞の方が、需要は高まるのではないかなと感じました。
勿論、今のようなネットでの宣伝ありきで、アフィリエイトなどが全盛の時代であるからこその考え方だとは思いますが、作品を著作権フリー素材として、無料で展開することで、多くのクリエイターに二次利用してもらう。結果的にそれが自分の知名度を上げ、自身の創作活動にプラスになるという考え方は、従来あるビジネスとは真逆の考え方だと感じました。(従来の権利を守って利益を確保するという考え方とは異なり、権利を放棄することで大規模な宣伝へと繋げる方向性。)ちなみに『魔王魂』公式サイト以外で配信されている森田さんの作品の二次利用は禁止なので、iTunesなどで買った楽曲を、創作作品に転用することは不可となります。ご注意くださいね。
無料&有料問わず、多くのゲーム、映像、音楽などが、世の中には溢れています。その中から多くの人に届く作品は、ほんの一握りです。魔王魂さんの「シャイニングスター」は、それらの激しい競争の中で、勝つ術の一手段を見せてくれたような気がします。現在は音楽配信サイトなどでも、有料配信中ですが、このレベルの作品であれば、お金を支払ってでも聴く価値はあると思います。
ボーカル:16
メロディ:17
歌詞:15
アレンジ:17
個性:18
TOTAL:83