名曲シリーズ #042【ニガミ17才「幽霊であるし」(2020)】変態チックにも関わらずタイトなカッコよさを併せ持つ魅力的なバンド

元嘘つきバービーの岩下優介を中心に結成されたバンド、ニガミ17才。今作「幽霊であるし」のMVは、クリエイティヴ集団PERIMETRONが制作。奇跡のコラボレーションが実現しました。少し不気味でカルトな雰囲気さえ漂います。

このバンドに対しての評価は非常に迷います。カッコいいんですけど、メチャクチャひねくれている。変態的な部分を前面に出していくのは、インパクトとして強く残るので、イメージ戦略としては正解だと思います。『おしゃれ且つ変態を謳うクリエイティブバンド』というキャッチフレーズを、自分たちで使っているところを見ると、この言葉以上に、もっと深い魅力を持ち併せているバンドなのかもしれません。どうしても奇抜さに目が行きがちですが、とにかくサウンドの作り方が素晴らしい。歌詞の韻の踏み方と、ベースラインが心地良いバンドです。楽曲の素晴らしさが、変態的な癖の強さを全て包み込んで、オシャレで気品すら溢れるような作品へと、昇華している印象さえあります。

歌詞に至っては、一見、音を重視するあまり、意味不明な言語の羅列というようにも捉えられがちです。ただちゃんとテーマには沿っていて、音を優先した言葉の選び方はしていますが、ストーリーはしっかりと構築されています。金に困った主人公が、深夜に街をフラフラと練り歩く。そこで過去の学生時代の記憶を顧みながら、雨に打たれ続ける今の姿はまるで幽霊のようだと自問自答する。そういった描写が見えてくるのですが、言葉遊びも含めてインパクトが強く、センスの塊だなという印象が残りました。

類似アーティストを探すとすると、岡村靖幸さんが好きな方なら、きっと共感出来る部分があると思います。2021年4月、ドラムの小銭喜剛さんが、家庭の事情で実家に戻ることになり脱退という残念なニュースもありましたが、これからもバンドの色を前面に押し出しながらの活動に期待したいと思います。

【レーダーチャート】

ボーカル：16
メロディ：17
歌詞：18
アレンジ：19
個性：20

TOTAL：90