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初恋の嵐「Untitled」
作詞&作曲:西山達郎/編曲:初恋の嵐

この曲との出会いは、何気なくCD屋さんで手に取った、一枚のCDがきっかけでした。大宮の行きつけの店のインディーズコーナーを、散策していた時のことです。失礼ながらも、名前を存じ上げることがないアーティストの面々。この中からメジャーで大飛躍する面子がいずれ現れるんだろうなと、ある意味、期待感を抱きつつ、CDのジャケットを眺める時間。それまでもCDを衝動的に購入したこともあったのですが、インディーズ盤というのは、メジャー流通盤と比べても、価格が安めに設定されていた為、勢いだけで買いやすいという特徴もありました。

そんな中で一枚のCDに目が留まりました。「初恋の嵐…?随分とシンプルでストレートなバンド名だな。ラブソングを沢山歌いそうだな。」なんていうことを考えながらも、バンド名を象徴するような、シンプルなジャケットに惹かれて、何となく購入してしまいました。

表題曲の「Untitled」は、ストレートでザラザラした、ロックバラードナンバー。ボーカルの西山さんの歌声も心地よく、多くの人に聴いてもらう機会さえあれば、売れる要素は強いのではないかなと、ジャケ買いというギャンブル性の高い買い方をしたにも関わらず、当たりを引いたことを嬉しく思いました。

暫くして初恋の嵐が、メジャーデビューするというニュースが耳に入りました。業界内でも実力派との評判があり、ライブにレコード会社のスカウトの人間が多く訪れ、熾烈な争奪戦の末、2001年の秋には、ユニバーサルミュージックが獲得。同時期にマネージメント会社として、スマイルカンパニーホライゾン・エンタテイメントと契約。2002年春のメジャーデビューに向けて、楽曲制作を重ねました。

順風満帆に見えた矢先の出来事でした。2002年03月02日、デビューシングルのリリースを待たずに、ボーカル&ギター&ソングライティングを担当していた西山達郎が、急性心不全で亡くなりました。25歳の若さでした。バンドの核を失った形にはなりましたが、残された、隅倉弘至鈴木正敏の二人で活動を続け、レコード会社のスタッフの協力の元、予定通りメジャーデビューに向けて動きます。

残された二人は、新しいボーカリストを迎えることなく、楽曲の制作を続行。生前に残された西山のボーカルトラックを生かして再レコーディング、新曲の発売にこぎつけ、ライブにおいてはゲストボーカルを迎えることで、活動を続けました。(ちなみにゲストボーカルは、曽我部恵一堂島孝平などが務めました。)メジャーからのリリースは、CD2枚のみで、2002年後半からは活動休止に入ります。

実力派バンドのボーカルがデビュー直前に亡くなる。このニュースは業界内でも多くの人の心に届きます。2011年に活動を再開。2012年にはスピッツによる「初恋に捧ぐ」のカバーなどもありブレイク。2017年に再度、活動休止するまで、精力的に活動を続けました。

たらればを言うつもりはありませんが、もし西山さんが亡くなっていなかったら、今も第一線で活躍するバンドだったかもしれません。数奇な運命。自分は初恋の嵐のライブを見に行ったことがありませんし、たまたまインディーズ盤を手に取っただけです。

ただその偶然に知ったバンドのボーカルが、夢にまでみたメジャーデビュー直前に、逝去してしまったという悲しい出来事。そして西山さんのボーカルを生かす形でその後の活動を続けた、大学時代の友人でもあり、メンバーでもある隅倉さん&鈴木さんの2人。業界内にもファンが多く、沢山のミュージシャンに支えられたライブ活動。その全てをひっくるめて、初恋の嵐と呼んでも過言ではありません。

音源という形ではありますが、今でも西山さんの歌声は聴くことが出来るので、気になった方は、多くのミュージシャンを魅了した、初恋の嵐の世界観に触れてみてください。

【レーダーチャート】

ボーカル:17
メロディ:18
歌詞:17
アレンジ:18
個性:17

TOTAL:87

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