名曲シリーズ #023【MOON CHILD「ESCAPE」(1997)】まるでスパイ映画のテーマソングのようでゾクゾクさせられる刺激的な作品

自分は子供の頃から、ドラマをそんなに見る方ではありませんでした。ただ毎週見ていたドラマ『FiVE』の主題歌だったのが、この作品。先入観無しで聴いた時に、何故か耳に引っ掛かりました。絶望感の中に一筋の光が見えるような、スパイ映画を見ている時のようなゾクゾク感。まるで目に見えない敵か何かが迫ってくるようなアレンジに、圧倒された思い出があります。

AORやオルタナロックの雰囲気が漂うバンド、MOON CHILD。1995年に佐々木、渡辺、樫山の3ピースバンドとして結成。バンド名はボーカルの佐々木がムーンライダーズのファンであり、彼らに因んで付けられたとのこと。Mr.Childrenのサポートメンバーだった浦清英プロデュースにより、1996年にシングル「Brandnew Gear」でデビュー。同年秋に秋山が加入し、4人組バンドとなりました。

「ESCAPE」は、MOON CHILDのシングルで唯一、オリコンシングルチャートで1位を記録した作品であり、最大のヒット曲。この際、前週の9位から8ランクアップさせての1位獲得(3週目にして首位)ということもあり、ドラマの影響で徐々に売れていったということが伺えます。ヒット曲が生まれる時のお手本のような売れ方ですね。累計で60万枚程のセールスを記録しました。その後、多くのアーティストにもカバーされました。1990年代を代表する、名曲の中の一曲であることには違いありません。(dream、島谷ひとみ、AYABIE、UNCHAIN、菅沼久義などがカバー。)

どのような経緯なのかは分からないのですが、何故か今年に入ってからも、ビルボードジャパンの週間TOP100にランクインしていて、2021年になった今でも根強い人気があることが伺えます。(理由を調べてみたところ、2020年にアナログ盤の「ESCAPE」がリリースされたそうです。バンド活動自体は、続いているみたいなので、そういったことが影響しているのかもしれません。)

2020年にメンバーの佐々木と秋山は、オサム＆ヒロノリ from MOON CHILDとして、「微熱」、「ESCAPE」、「requiem for the man of nomad」のセルフカバーと新曲を収録したミニアルバムを発表しました。バンドとしては、活動再開と休止を繰り返しているのですが、各々、個々の活動の合間でライブなどはしていきたいそうで、今後の活動にも注目が集まります。