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今、流行りのネット動画系アーティスト、ツユ。偶然に耳にした今作品の第一印象。歌詞に興味が沸く表現が、多々ありました。まず最初に『泥』という表現に引き込まれました。それというのも、そもそも人を罵る時に、『泥』という表現が使われる前例は、あまりありません。と言いますか、その表現の下りは、自分も生まれて初めて聞きました。もっと汚い言葉を捻りだそうとすれば、他にいくらでもあるはずなのに、敢えて『泥』という単語を使う部分に興味が沸きました。
何故に泥なのかを考えてみました。あくまでも推測ですが、どこにでもある目立たない存在の比喩として、この表現を選んだのではないかなと。きっとこの曲の主人公は、容姿端麗で成績優秀、非の打ちどころがない、素質と才能に優れた人物だったのでしょう。それが傍から見れば、泥のような存在である、どこにでもいるような普通の子に、大切な相手を奪われてしまった。その恨みつらみを込めた言葉が、『泥の分際』という比喩表現に繋がっているのかなと。
サウンド的には、今はやりのデジタルロック。ネット音楽やボカロ系の流れを汲んだ、テンポの良い打ち込み系サウンドを軸に、ピアノやギターの音が、散りばめられていて、音の渦に引き寄せられる感覚に陥ります。プライドの高い主人公の魂の叫びを聞いたような、そんなインパクトを感じさせられました。音と言葉を使って、上手く遊んでいる感じが、このアーティストの魅力のような気がします。今後の作品にも期待したいです。
歌詞を聴きこむうちに、いくつか自分なりの解釈が生まれてきたので、下記にまとめておきます。
一般的な恋愛における嫉妬のパターン。彼氏を他の女性に奪われてしまったという解釈。普通に受け取るとすれば、この考え方が一般的だと思われます。
通常の男女の恋愛の曲にも聴こえますが、LGBTが一般的な考え方になった昨今、性別が逆のパターンも考えられます。仮に女性が恋愛対象ではなかったとしても、幼馴染を男に奪われたというようなイメージの解釈も可能です。
この解釈は歌詞の中にヒントがありました。『泥』というのは、地上にいる存在。自分が空に昇ってしまっている為に、生きている二人を天から見下ろしているという解釈。
「地面の上這って 見上げることしか能がないくせに」 「だって期限付きの生を 有り難がるしか能が無いくせに」この二つのキーワードは、限られた世界でしか生きられない二人に対する皮肉で、人という存在でなくなった自分には、もう関係ないという強がりにも聞こえます。
最後の「未練しか残らないこんな結末を 反逆者として背負ってくんだね」というのは、生前に犯した罪が原因で、自分は亡くなってしまい、残った元彼氏と新しい彼女がくっ付き、自分はあの世で翼を失い地獄に落とされるというイメージ。ここまで大胆な想像する人間は、殆どいないかもしれませんが、この解釈であれば『泥』や『翼』、『期限付きの生』に対しての説明が付きます。
皆様はどんなイメージを抱いたでしょうか。自分は③のパターンが、一番しっくりと来ましたし、泥の説明が一番明確になるので、この意見を一押しにしたいと思います。色々と考えながら、歌詞を解釈するのは楽しいですね。
ボーカル:17
メロディ:18
歌詞:19
アレンジ:19
個性:19
TOTAL:92