リアルタイム・シンガーソングライター、高橋優さんが発表した珠玉のメッセージソング。東京メトロ『TOKYO HEART』CFにも起用されました。ギターの弾き語りスタイルで、淡々したとメッセージを、暖かいボーカルに乗せて届けてくれます。こんなにも暖かい曲だったら、殺伐とした世の中を救ってくれるかもしれない。それがこの曲を初めて聴いた際に、思い描いた感想でした。
決して音楽的に新しいことをしているわけではないし、どちらかというと、スタンダードな弾き語りスタイルで、言葉を大切にした、古典的なアプローチ手法を取り入れた作品だと思います。だけど心に染みるかどうかというのは、手法が古いとか新しいとか、そんなものを凌駕した上で、全く違うベクトルのものであるということを、この曲が教えてくれたような気がしました。
現在、この曲に関してのオーディエンスの評価は高く、口コミがきっかけとなり、多くの人に支持されています。今作では当たり前のことを、当たり前のように歌ってるだけかもしれません。ただそれが多くの人の心に染みるということは、当たり前の状態であることが、不自然になりつつあることに対して、危惧を持つべきではないのかなと、そんなことを警告してくれているようにも感じました。
今の世の中には、ラブソングが溢れてしまっています。「愛してる」だとか、「好き」だとか、軽々しく使い続けてしまったせいで、いつの間にか輝きを失ってしまったような気がします。気持ちのない言葉なんていくらでも生み出せるという反面、人の心はそんな単純なものではないし、そんな簡単に言葉で表現できるものではありませんからね。
それだけに歌詞に意義を見出す行為について、難しい世の中になってきている気がするのですが、この曲に込められているメッセージは、決して押しつけがましいものではない気がしました。ただ単に高橋さんが感じたありのままの心情が、歌詞という形で、吐露されているように感じましたし、あとは聴き手側が、どのように捉えても良いと思います。
疲れた心を優しく包んでくれるような、そんな部分が最高に暖かくて好きです。洒落た言葉が並んだ歌詞と、ありのままをさらけ出した歌詞では、やっぱり後者の方が、本当の意味でカッコいいのではないでしょうか。
「きっとこの世界の共通言語は英語じゃなくて笑顔だと思う」
この一言に、高橋優さんの全てが込められていると思います。物騒で殺伐とした世の中に、暖かい希望の光を届けてくれた、そんなナンバーではないでしょうか。一生聴き続けたい名曲になりそうです。
※2011年06月23日(木)公開の記事に、加筆修正致しました。
ボーカル:18
メロディ:18
歌詞:20
アレンジ:17
個性:17
TOTAL:90