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高田梢枝「秘密基地」
作詞&作曲:高田梢枝/編曲:TOMI YO

交響詩篇エウレカセブンのエンディングテーマとして起用された、高田梢枝さんの「秘密基地」。2005年04月にリリースされた楽曲の中では、自分にとって一押しの作品でした。ファーストシングル「渋滞ぬけみちなし」も良かったのですが、セカンドシングルにあたるこの作品では、歌詞の素晴らしさを改めて感じることが出来ました。高田さんの牧歌的な歌声が、若き日の郷愁を感じさせてくれますし、ひたすら真っ直ぐで、心に染みてくるんですよね。擦り切れるようなボーカルと、繊細なギターの音が印象的なアーティストです。

詞の鋭さから、第二の尾崎豊とも呼べる存在になれると、個人的にはそんな風に感じました。それもそのはず、尾崎豊さんのトリビュートアルバムに、唯一、アマチュアでありながら参加したことが、彼女のメジャーデビューのきっかけになったというエピソードがあります。そういった面からも、尾崎豊に通じるものがどこかあるのでしょう。不思議な縁だと思います。

特にこの作品は、歌詞に印象的な部分が散りばめられています。そこで「秘密基地」のフレーズの中で、好きな部分をいくつかピックアップしてみようと思います。

わがままをまだかわいいと
勘違いしていたんだ ずっと

あきらめることなんて思い浮かばなかった
ただ前を向いてた でも…

できないことばかりで
早く自由になりたくて

子供の頃というのは、自分の描いたものが全て叶うのではないかという期待が大きかったし、純粋に信じることが出来た。だから夢の話を恥ずかしげもなく、思う存分できたんだと思う。ただ子供という立場。その制約の中では、出来ない事も多すぎた。自由になれると思っていた、大人にさえなれれば…。

あれから随分背も伸びて
世の中のこと少しわかって

一生懸命がカッコ悪くて
冷めたフリして歩いていたよ

でも…中途半端な僕には
何ひとつできなかった

自分が大人になってみて、結局は大人が不自由なもので、出来ないことがたくさんあるということに気がつく。そして描いた夢なんて、大半は叶わないものだということにも…。頑張ることをかっこ悪いと思い、頑張らないフリをする。それを美学だと思うようになるが、全てが中途半端で、残ったのは何も出来ない抜け殻のような自分の存在だけ…。

いつからか僕はきらめく明日を
信じてたことさえ忘れて

自分を守るために
たくさんの大切なものを傷つけてた

子供の頃の夢を忘れて、自分を守る為に、現実の僅かな利益を求めるようになった。その影でたくさんの大切なものを犠牲にしているとも気づかずに…。いや実際には気が付いていたのかもしれないが、気に留めることもせずに…。

いくら手を伸ばしたって
届くはずのない 大きな大きな空

でも僕は何にも疑うこともなく
キレイな未来を信じてた

悔しいことがあると
こらえ切れなかった 大きな大きな涙

でもあのときの僕の目は
何よりも輝いてたと思う

少年時代を思い描いてみて、改めて気づかされる。あのときに描いた気持ちはかけがえのないものだったのだと。そして現実とのギャップはあれど、その気持ちを忘れてはいけないということに。失敗をばねにして立ち上がる勇気は、失ってはいけないものであると、改めて思い知らされる…。

あの頃の小さな僕が見上げる
空はほんとうに広かった

好きな人をこの手で
守れると思っていた 本気で

好きという気持ちさえあれば、大切な人を守れると思っていた。ただそれだけでは駄目なんだと、この広い世界でそのことに気づかされる。子供から大人へと成長する過程で、誰もが感じるであろう心情のコントラストを見事に表現したこのナンバー。大人になって同じような毎日が繰り返されることをつまらないと感じる人に、是非、聞いて欲しい楽曲です。

※2005年05月27日(金)公開の記事に、加筆修正致しました。

目次

【追記】(2021年02月)

2021年現在。高田梢枝さんは、プロデューサーでもある菊池一俊さんと共に、アコースティックユニット日々かりめろとして、2016年から二人で活動中。現在は茨城県を中心にライブ活動を展開。2017年~2019年に1,000本以上のライブに出演。2019年12月22日には、東京国際フォーラムでワンマンライブを開催。2020年には274本のライブを敢行しました。ライブを中心に活動するアーティストの為、コロナ渦という環境は逆風となっていますが、負けずに2021年も精力的に活動中です。

【レーダーチャート】

ボーカル:16
メロディ:18
歌詞:19
アレンジ:17
個性:16

TOTAL:86

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