音楽談話 #015「楽曲を聴き比べてジャッジするという取り組み」

現在は廃刊となってしまいましたが、以前、『Weeklyぴあ』という雑誌の中で、『CD好感度ランキング』というコーナーがありました。概要としては、会議室のような場所に、モニターとなる読者100名程を集め、一週間にリリースされる邦楽のシングルCDを、ひたすら試聴してもらって、点数を付けてもらう。その結果を集計して、ランキング形式で発表するという企画でした。

このチャートの面白いところは、忖度無しの環境下で、純粋に曲から受けるインスピレーションのみで作品をジャッジ。参加者に点数を付けてもらうことで、チャートを作り上げていくという点にあると思います。楽曲に対する評価というものは、個人の感性によるところが大きい為、全く予想のつかない結果になるのは面白い部分だと思いました。これは実は『Japanese DREAM』や『サブコン』とほぼ同じ理念であり、特徴としてはセールスチャートや視聴回数ランキングなどとは全く違った基準で、オーディエンスの趣味嗜好がリアルに反映されたランキングを生成できる部分にあると思います。

多数の人間が、平等な条件において楽曲を聴き比べた上で、良い曲を基準にして評価をつけていく。それによって生成されたチャートは、万人の目から見て分かりやすい良い曲ランキングの決め方ではないかなと思いました。投票に参加したメンバーや環境によって、必ずしも同じ結果になるとは限りませんが、ある程度、大まかな傾向的なものは、見えてくると思います。

自分にとっての良い曲や、お気に入りの曲を探すという行為自体が、自己満足そのものだったりするので、絶対的な価値観なんてものは最初から存在しません。あくまでも結果は目安ということで、気楽なスタンスで受け入れれば良いと思います。自分はこういったチャートが、音楽ファンに浸透していくことは、業界の活性化にとってプラスだと考えています。