ここ20年で一番変化したものと言えば、音楽の聴き方のような気がします。今やCDは過去の産物となりつつあり、世界的にもサブスクリプション(定額制配信ストリーミングサイト)が主流に。音楽ファイルを購入して楽しむという重要性は昔よりも薄くなり、ネットで音源を借りて聴くというスタイルが一般的に。日本という国はそれでも、諸外国と比較すると、CDやレンタルショップへの依存度は高く、まだまだ現役のメディアであるのもまた事実です。
自分が音楽に興味を持ち始めた頃、外で音楽を聴く時に一番、使用頻度が高かったメディアは、カセットテープでした。勿論、CDの存在はありましたが、学生の身分では、欲しい音源を全て買えるわけもなく、ラジオ番組をカセットテープにエアチェック(録音)するか、CDレンタル屋で借りたCDを、カセットテープにダビングするというのが主流になりました。1990年代後半を迎えるまで、カセットテープがメインであり続けました。(メディアも、再生機材も、コスト的に安く済ませるには都合が良かったからです。)
2000年を迎える頃には、MD(ミニディスク)が主流になり始めました。アナログなカセットテープの弱点としては、頭出しが一発で出来ないこと、繰り返し聞くことでテープが劣化。すり減ってしまって、音質が変わってしまうことなどが挙げられたのですが、メディアがMDになることにより、音源データもデジタル化。(データにはSONYが開発したATRACという技術が採用されました。)これによって頭出しや編集などが、容易に行えるようになりました。2003年頃まではMDが主流で、カセットテープの代わりに使用していました。
この後、ようやくデジタルミュージックの時代に突入。MP3などの音源ファイルを、専用のプレイヤーで再生するというスタイルが確立され始めます。自分をよく知る人は、自分がapple社製品をあまり好きではないというのは、ご存じかもしれませんが、実はこの頃からそれは変わっていません。そういった理由もあって、巷ではi-podなるものが流行りましたが、自分は他社の製品を使うことにしました。これが2004年の出来事です。
自分が生まれて初めて買った、デジタルオーディオプレイヤーは、i-river社製の『iHP-120』という機種でした。
20GBのハードディスクを積んでいるモデルだったのですが、当時のHDモデルとしては、かなりの大容量を売りにしていました。(音源データを1曲5MBのファイルとして換算すると、4,000曲程の音楽を持ち歩くことが可能でした。)この後、i-podが携帯音楽プレイヤーの独占市場を築いていくのですが、2000年代中盤は、各社が携帯音楽プレイヤーで、壮絶なシェア争いをしている真っただ中でした。アップル社製のi-podが、やや市場では先行していたのを尻目に、appleが苦手な自分は、他の会社の製品を選ぶことにしたんですよね。
何か良さげなものはないかなと探していたところ、たまたまビックカメラで、i-river社のキャンペーンが行われていて、偶然、手に取ったのが、この製品だったというわけです。キャンペーンをしていたお姉さんに乗せられて即決。ほぼ衝動買いに近い感じでした。当時はハードディスクタイプの音楽プレイヤーが、まだまだ珍しい時期だったこともあって、液晶が白黒であったこの製品であっても、価格が4万円以上もしました。
しかも一昔前の携帯ラジオのように、ちょっとした厚みがあるのが特徴。まあ形がラジオに似ているだけあって、実際にFMラジオのチューナーは、内蔵されていたのですが、殆ど使うこともありませんでしたけどね。ちなみに液晶画面がカラーのタイプも、同時に売り出されていたようですが、それだと当時は価格が6万円以上しましたし、純粋に音楽を聴くことだけが目的であれば、画面が白黒であっても関係ないとの思いから、こちらの製品を購入することになりました。
結局、この選択肢が大当たりで、故障もなく現役で5年近く使い続けることが出来ました。先にリモコンの方が、壊れてしまったのですが、本体だけは無事な状態が続きましたね。ただ長年使っていたことで、ハードディスクにガタがきたのか、エラーでデータが読み込めないケースが出てきたことはありましたが、最後までよく持ったなぁという感じです。i-podが流行り出した時期は、薄型のプレイヤーが当たり前になりつつあったので、「そのラジオみたいなのは何?」という質問はよくされました。
ただ2008年の終盤、この製品もそろそろ限界ということで、新しいものを買おうかなと思いました。しかし天の邪鬼な自分は、i-podだけは避けたかったので、選択肢からは除外。i-river社製で他に良い機種はないかなと物色したところ、大容量のハードディスクタイプのプレイヤーは、現行機種の中では、発売されていない模様。(この時期になると、携帯プレイヤーはi-podの独占市場になりつつあり、徐々に他メーカーが市場から撤退していきます。)
そこで目を付けたのが、東芝社製のGIGA BEATという機種でした。60GBのハードディスクを積んだ『V30E』という機種が、オークションで安く出品されていたので、そこに目を付けました。2006年に発売された機種ですが、殆ど未使用ということで出品されていたので、2008年の終わりにこの製品を落札しました。
この機種は大き目なカラー液晶を採用。音楽プレイヤーとしての機能の他に、ワンセグ機能があり、携帯テレビとしても使用できました。テレビ番組録画機能なども充実していて、便利そうなイメージではありましたが、バッテリーの消耗が激しいことと、サイズが大きくてかさばってしまうのが難点。持ち運ぶには、使い勝手が良いとはお世辞にも言えなかった為、直ぐに隠居することになってしまいました。
そして2010年を迎えた時に、新しい機種を探してはみたのですが、なかなかお気に入りの機種は見つかりません。i-podが独占市場を築いている今、HDの容量的な部分から考えても、次に買うのは『i-pod classic』になってしまいそうな予感。自分は出来るだけ沢山の曲を持ち運びたかったので、フラッシュメモリタイプではなく、大容量のHDタイプが欲しいという希望がありました。そういった理由から、i-podシリーズの中で選ぶのだったら、『touch』ではなくて『classic』なのです。
そこで悩んだ末に、『iPod classic 160GB (ブラック) MC297J/A』を購入。
「appleが嫌い」とか言ってる場合ではなくなってしまい、現行で入手できるHD搭載モデルがこれしかなかったので、やむを得ずに購入しました。悔しいながらも、流石に使いやすかったので、これが結果的に最後に自分で買った携帯音楽プレイヤーとなりました。友人から誕生日プレゼントで、中古の『i-Pod touch』を貰って、それと併用する形で自身の携帯音楽プレイヤーの歴史は幕を閉じました。
そこから後は、専用の音楽プレイヤーを買わなくても、スマホで音楽を聴けば良い時代になってしまったので、今でも買ってはいません。ただ今回の記事を書くに当たって、少し調べたところ、2019年、約4年ぶりに、i-podの新機種が発売されたということで、少し気にはなっています。(カメラ機能も備えているので、スマホが使えない時の予備機として、持ち歩くのもありかなと思いました。)もし買うようなことがあれば、このサイトで使用感などを紹介したいと思います。
※2010年01月24日(日)公開の記事に、加筆修正致しました。