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麻帆良学園中等部2-A「ハッピー☆マテリアル」
作詞:うらん/作曲:大川茂伸/編曲:大久保薫

ここ10数年の音楽業界で、一番の変化というのは、アニソン、アイドル、ボカロ系(Webクリエイター&ネット系音楽&歌い手など含む)が、一ジャンルとしての地位を築いたことにあると思います。どうしても一部のマニアだけの音楽というイメージが、ひと昔前までは強かったのですが、今は曲が良ければ多くの人に受け入れられる対象になりました。

現在はストレートなネットでの反応が、ヒットへの布石となる為に、純粋にオーディエンスが好む曲が、そのまま世論に反映される部分があります。口コミで火が付くネットクリエイター系のミュージシャンなどは、その典型例だと思います。ただ15年前、当時のSNSなどの位置づけは、今のように大きな存在ではありませんでした。個人で発信出来るネットの情報はというと、2ちゃんねるなどの公開型の掲示板、個人でレンタルサーバーを借りて運営するWebサイトが中心でした。(ちなみに2000年前後だと、まだブログという言葉すら認知されていなかった時代ですし、動画共有サイトなんていうものもありませんでした。2005年くらいになると、個人で発信できるスペースが徐々に増えてきた印象。丁度、mixiの創世記くらいのタイミングです。ちなみにfacebookが2004年、Twitterが2006年に創設されたSNSです。この辺りの時期を境にして、大多数の人間が、何かしらはアカウントを持つようになり、一般層を対象としたSNSが、本格的に普及していくことになります。)

この時期はどちらかと言えば、従来からある、テレビやラジオ、雑誌と言った、アナログベースの既存のメディア主導で流行を作っていた為、業界内の力関係で、評価が変わることもあり得ました。音楽業界内のアニメ業界に対する目が厳しかったこともあり、声優さんが歌うマニアックなアニメ主題歌に対して、既存のメディアがアレルギーを感じていたのかもしれません。(今はバラエティ番組などで、人気声優さんを見かけるのは普通の出来事ですし、今でこそ信じられないことなのですが、当時、テレビやラジオの音楽チャート番組などでは、売上があるにも関わらず、アニソンだけが意図的に、ランキングから外されることも多々ありました。)

自分が2005年に執筆した記事を読み返していた時に、こんな内容の投稿があったので、再構築して掲載してみたいと思います。


森山直太朗の「ハッピー☆マテリアル」炎上事件。2005年にアニメ『 魔法先生ネギま! 』の主題歌、「ハッピー☆マテリアル」が大人気となり、オリコンチャートの上位を記録。当時、シンガーソングライターの森山直太朗さんが、『J-WAVE』でパーソナリティーを担当するラジオ番組で、音楽セールスチャートを発表するコーナーがありました。その番組中のチャートで、『 魔法先生ネギま! 』の主題歌である2枚のCDが、3位&4位を獲得したことが、事件の発端となってしまいます。

プロデューサー(以下:P)
「これこれ、ジャケット。」

森山直太朗(以下:森)
「ああ、萌えー。アキバ系のやつだ。
あのー、これね、無くなってほしいですね。」

P「なんてこというの。
こういう人が日本の経済支えてるのよ、
アキバは日本で有名なのよ。」

森「声優さんかな?これ。」

P「きれいな方ばっかりですからね、声優さんは。」

森「まぁ、ブームってあると思うんだけど。
頑張って日本の経済支えてください!」

案の定、森山直太朗が「ハッピー☆マテリアル」を罵倒したということは、瞬く間にネットで拡散して、2ちゃんねるを中心に炎上しました。そもそも森山さんは、ファンの間では毒舌キャラで知られていたので、「またいつものノリか」で済む内容だったのですが、ヒット曲の「さくら」でしか森山さんを知らないライト層からは、「とんでもない暴言だ!」と捉えられてしまったのかもしれません。

アニソンの歴史。それまでも例えば古くは「タッチ」や「宇宙戦艦ヤマト」、1990年代以降だと「おどるポンポコリン」や「残酷な天使のテーゼ」など、一般層にも浸透したアニソンはありますが、萌えキャラがメインのオタク向けのアニメの主題歌などは、どうしても色眼鏡で見られがちでした。

現在、アニソンを取り巻く環境は、当時とは比較できないくらい良いものになりました。アニソンが好意的な目で見られるようになった例を挙げます。「けものフレンズ」の主題歌「ようこそジャパリパークへ」などを手掛けた、大石昌良(オーイシマサヨシ)さんなどは、今でこそアニソン関係の人という目で見られますが、そもそもはSound Scheduleというロックバンドのボーカルで、自分としてはその頃の印象が強く、当時のライブなどを生で見ていた為、アニソンのイメージは全くありませんでした。バンド時代から良質な楽曲を提供してくれていたので、実力はあったとは思いますが、まさかアニソン界隈が一般層にまで浸透、今のような形で再評価されることになるとは、当時は予想だにしていませんでしたからね。今でこそ、アニメ作品に楽曲を提供できるという事実そのものが、多くの人に聴いてもらうきっかけになる為、世間一般からは名誉なことだと思われていますし、ある意味、ミュージシャンのステータスとしても捉えられています。

マニアックなアニメに偏見が強かった時代、森山さんのような意見を持つミュージシャンが、今よりも多く存在したというのは事実ですし、声優さんやアニソンを馬鹿にしている意図は、多からずあったとは思います。ただ一個人の意見としては、どう思うのも自由ですし、それによって森山さんのミュージシャンとしての実力が、色褪せるわけではありません。ただそれをラジオという公共放送でやってしまったことが、世の中に影響を与えるきっかけになってしまったわけですが…。当時のオタクの間では、これに反発して、主題歌の「ハッピーマテリアル」をオリコン1位にしようという活動が巻き起こりました。

もし仮に『 魔法先生ネギま!』側に非があるとすれば、絶対に売れると確信していたのか、CDを乱立気味にリリースしてしまった部分かもしれません。毎月、同じ曲を違う人に歌わせて、アレンジを少し変えてリリースする。加えてキャラソンのCDを毎月1枚発売するということを、前年度は行っていた為、『ネギま』関連のマキシシングル(累計20タイトル)のリリースは、実に1年半もの間、毎月続いたことになります。(ちなみに別タイトルなのであくまで参考記録ではありますが、これらのマキシシングルの合計売上枚数は、裕に100万枚を超え、累計ではミリオンセールスを達成したことになります。)決して業界的なルール違反というわけではないのですが、レコード会社が人気に乗じて安易な金儲けに走った結果、毎月のリリースに至ったという考え方も一理あると思います。(ヒット曲のリミックスを、毎月新譜として発売し続けるという行為自体、他には見られない現象だと思います。)

もしかしたら、森山さんの発言は、アニメやアニソン、声優さんに対するものではなく、作品人気にあやかり『ネギま』関連のマキシシングルを、毎月リリースし続けたレコード会社運営側に対するものであったのではないかなと、今だからこそ、そんな捉え方も出来なくはありません。(森山さんに対して、好意的な見方をすればの話ではありますが。)

結局、この騒動は自然消滅してしまったので、事の真相は謎なままではありますが、今のアニソン界を見たら、森山さんがどんな意見を持つのか、改めて聞いてみたいところではあります。

※続きは以下のリンクからどうぞ!

※2005年05月29日(日)公開の記事に、加筆修正致しました。

【外部リンク】

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